千葉の豪雨が示した「区域外」の浸水 盛岡でハザードマップをどう使うか
2026年8月13日、千葉県を記録的な大雨が襲いました。千葉市中央区では12時間で341.5ミリの雨が降り、道路の冠水や車内への閉じ込めによって8人が亡くなっています。住宅被害は少なくとも178棟、避難指示の対象は最大で40万人を超えました。
盛岡は海から遠く、地形も異なります。それでも私たちがこのニュースを他人事として読めないのは、今回の被害の出方が、これまで前提としてきた見方をひとつ覆したからです。
被害の半数以上は、浸水想定区域の「外」だった
ウェザーニューズが8月14日に発表した分析によると、寄せられた約2万件の浸水被害報告のうち、55.7パーセントは低地または浸水想定区域の外からのものでした。区域内からの報告は44.3パーセントにとどまります。
つまり、ハザードマップで色が塗られていない場所でも、半数以上が浸水しています。短い時間に降る雨の量が排水能力を超えれば、川から離れた住宅地でも水は行き場を失います。
それでも、ハザードマップから始める
この数字は「マップを見ても無駄だ」という意味ではありません。むしろ逆です。
国土交通省は、水害ハザードマップの説明を義務化した際の運用の考え方として、物件が浸水想定区域に該当しないからといって水害リスクがないと誤認することのないよう配慮することを、私たち宅地建物取引業者に求めています。マップは安全を証明する書類ではなく、その土地の地形と水の流れを読むための出発点です。
見るべきは色の有無だけではありません。周囲より低い土地か、雨水がどちらへ流れていくか、近くの水路や側溝はどこへつながっているか。地形を読む目を持って初めて、マップは意味を持ちます。
重要事項説明で初めて知るのでは遅い
不動産取引では、2020年8月28日の宅地建物取引業法施行規則の改正により、水防法にもとづく洪水・雨水出水・高潮のハザードマップを提示し、対象物件のおおよその位置を示すことが、重要事項説明で義務づけられました。土砂災害警戒区域や造成宅地防災区域も、以前から説明の対象です。
当社でも、これらを漏らさずお伝えしています。ただ、重要事項説明を行うのは契約の直前です。間取りも価格も気に入り、心が決まった段階でリスクを聞かされても、そこから冷静に判断し直すことは簡単ではありません。
マップを開くべきなのは、物件を探しはじめた最初の段階です。
盛岡で確かめられるマップ
盛岡市は、次のマップを公開しています。いずれも市の公式サイトから閲覧できます。
- 盛岡市防災マップ・防災ガイド 19地区別。洪水浸水想定区域と土砂災害警戒区域を記載
- 盛岡市洪水ハザードマップ
- 盛岡市土砂災害ハザードマップ
- 盛岡市ため池ハザードマップ
気になる物件が見つかったら、住所を控えて、これらすべてで位置を確認してください。洪水では白い土地が、土砂災害では警戒区域に入っていることがあります。滝沢市、矢巾町、雫石町、紫波町でも、それぞれの自治体が同様のマップを公開しています。
予算とリスクという、避けて通れない現実
では、価格も間取りも理想どおりの物件が危険区域に入っていたら、どうすべきか。ここに、不動産探しの難しさがあります。
地盤がよく利便性も高い土地は、どうしても価格が上がります。一方で、何らかの災害リスクを抱えたエリアは、ご予算内に収まりやすい価格で流通します。多少のリスクを承知でその物件を選ぶのか、条件を見直してでも避けるのか。最終的に問われるのは、この判断です。
安全が第一とはいえ、お客様それぞれに生活があり、ご予算があります。すべての方に完全に安全な場所だけをご提案できればと、現場に立つたびに考えさせられます。
良い面も、不安な面も、そのままお伝えします
だからこそ当社は、聞こえのよい言葉だけを並べることはいたしません。地域の環境を知る立場から、その物件に潜むリスクをそのままお伝えします。
そのうえで、ご予算とリスクのバランスをどう考えるか。リスクのある場所を選ぶのであれば、どのような備えが必要になるか。お客様がご自身で納得して決められるよう、判断の材料を揃えることが私たちの仕事だと考えています。
1984年の創業以来、盛岡の旧市街地を中心に住まいを扱ってきた蓄積は、そのためにあります。物件探しでお悩みの際は、良い面も不安な面もすべて並べたうえで、一緒に考えさせてください。