不動産の売却・査定の流れ
不動産の売却は、査定額を出して終わりではありません。いつまでに現金化したいかによって、とるべき方法が変わります。当社が実務で行っていることを、順を追ってご説明します。
いつまでに売りたいかで、方法が変わる
売却のご相談で最初にうかがうのは、価格ではなく期間です。売り急ぐほど手取りは減り、時間の余裕があるほど買主を選べます。当社では、ご希望の期間を5つに分けて方法をご提案しています。
図1 ご希望と期間の目安
- 買取を含む方法
- 市場での売却
期間はいずれも目安であり、物件の種類と時期によって幅があります。詳しい方法と媒介契約の別は下の表をご覧ください。
| ご希望 | 期間の目安 | 主な方法 | 媒介契約 |
|---|---|---|---|
| 即時 | 2週間ほど | 買取業者のご紹介 | 専任媒介が条件 |
| 緊急 | 3か月ほど | 買取との併用。並行して現地看板・ネット掲載・レインズ登録 | 専任媒介が条件 |
| 標準 | 6か月ほど | ネット掲載・レインズ登録・現地看板・住宅会社への案内 | 専任媒介をおすすめ |
| 慎重 | 1年ほど | ネット掲載・現地看板 | 専任媒介をおすすめ |
| 期限なし | 1年以上 | 現地看板のみ。価格は表に出さない扱いも可能 | 一般媒介をおすすめ |
買取は、業者が直接買い主となるため日程が読めます。一方で価格は市場での相場よりも低くなり、おおむね相場の5割から7割が目安です。物件の種類や時期によって幅がありますので、実際の金額は査定のうえでお示しします。
「緊急」でお選びいただくことが多いのは、買取価格を下限として押さえたうえで、それより高い金額で市場に出す方法です。期限までに売れなければ買取に切り替えられるため、下限を確保しながら上を狙えます。
価格は何で決まるか
土地・建物の価格を左右するのは、次の3つです。
図2 価格を決める3つの要素
動かせない
近隣の相場
周辺で実際にいくらで成約したか
動かせない
物件の状態
面積、形状、接道、築年数、設備、法令上の制限
調整できる
売主側のご都合
いつまでに売りたいか、どこまで条件を譲れるか
このうち相場と状態は動かせません。売主側で調整できるのは3つめだけです。だからこそ、最初に期間をうかがいます。
査定で用いる3つの手法
物件の種類に応じて使い分けます。
図3 査定で用いる3つの手法
01
取引事例比較法
周辺の成約事例と比べる方法です。レインズの成約・未成約データ、路線価図、地価公示価格、固定資産税評価額、各ポータルサイトの掲載事例を照らし合わせます。
02
原価法
建物を今建て直すといくらかを求め、築年数に応じて減価する方法です。構造(木造軸組・2×4・木質プレハブ・鉄骨)、延床面積、築年数に加え、屋根・外壁・厨房・浴室・給湯・冷暖房の状態、住宅性能評価書や瑕疵保証書の有無、間取りの良否まで見て補正します。
03
収益還元法
その物件が生む家賃収入から逆算する方法です。
土地の査定では、駅・バス停までの距離(徒歩は80メートルを1分として計算します)、店舗や公共施設の利便性、隣接地の利用状況、騒音・日照・眺望、排水とガスの供給処理施設、前面道路の方角・幅員・舗装、間口と形状、路地状敷地の奥行、崖地や法地の面積と斜度、都市計画道路の予定地、高圧線下地の有無と前面道路との高低差までを項目として見ます。
当社が調べていること
査定額をお出しする前に、現地・法務局・役所を確認します。書類だけで判断すると、売り出したあとに条件が変わり、思わぬトラブルに見舞われる可能性があるためです。
図4 査定の前に確認していること
-
現地で見ること17項目
- 道路の幅員と境界石
- 道路整備の状況
- 下水道と浄化槽
- 境界線と境界石
- 敷地まわりの寸法
- 水害の形跡
- 敷地と建物の利用状況
- 他人による敷地の利用
- 地下埋設物の形跡
- 電気・ガス・水道・井戸・共同受信設備
- 外壁とブロック塀の保守状況
- 室内の保守状況
- 崖と斜面
- 擁壁の厚みと亀裂
- 周辺環境
- 騒音・異臭・嫌悪施設・危険施設
- 高圧線と河川の状況
-
法務局で取ること9項目
- 公図
- 土地・建物の登記事項証明書
- 隣地地主の登記事項要約書
- 敷地と道路の地積測量図
- 土地の閉鎖謄本
- 旧紙公図
- 旧土地台帳(地目の変遷)
- 建物図面
- 固定資産税評価額の通知書
-
役所で確認すること26項目
- 市街化区域・調整区域の別
- 用途地域
- 建ぺい率と容積率
- 高度地区
- 都市計画道路の計画と幅員
- 宅地造成規制
- 開発許可の履歴
- 本管の口径と位置
- 汚水と雨水の合流分流
- 宅内枡
- 下水道負担金
- 供用開始の時期
- 建築基準法上の道路種別
- 認定幅員
- 境界の確定
- セットバックの要否
- 位置指定道路
- 但し書き通路
- 区画整理の進行状況
- 仮換地・本換地の予定
- 浸水想定区域
- 土砂災害警戒区域
- 土壌汚染の指定区域
- 農地転用の許可見込み
- 埋蔵文化財包蔵地
- 試掘調査の費用負担
擁壁は高さ2メートルを超えるものについて厚みと亀裂を確認します。排水の宅内枡、道路の認定幅員、区画整理の仮換地・本換地の予定など、各項目の細目は担当がご説明します。
盛岡の旧市街地では、現在の建築基準では建て替えができない土地や、私道に接した土地が残っています。相続が重なり、登記上の名義が現況と合っていないこともあります。これらは売却の可否と価格そのものを左右しますので、査定の前にお伝えします。
告知書のこと
売主様には、買主に伝えるべき事実を書面でご申告いただきます。これを告知書(物件状況確認書)といい、次の4つに分けて確認します。
- 敷地について 地耐力の調査記録、地下埋設物や井戸の有無、土壌汚染や井戸水汚染の可能性、地盤沈下の有無
- 建物について 住宅性能評価書・性能保証書・耐震診断書の有無、石綿とホルムアルデヒドの調査、テレビ電波の受信障害、雨漏り、シロアリ被害、給排水の水漏れ事故、床下浸水・火災の履歴、構造上主要な部位の腐食や傾き
- 権利と法令について 差押えの可能性、行政指導や処分、隣地との越境、境界をめぐる紛争、筆界特定の通知、第三者による敷地利用や給排水設備の利用
- 心理的な要因について 異臭や腐敗臭、浄化槽の臭気、近隣の騒音振動、嫌悪施設、崖の危険箇所、日照や眺望をめぐる住民運動の有無など
言いにくい事柄も含まれますが、隠したまま引き渡すと契約不適合責任を問われます。先に出しておくほうが結果として売主様を守ります。書き方が分からない場合は、告知書のフォームに沿ってご記入いただければ、当社で整えます。
媒介契約の3種類
売却の依頼方法は3つあり、他社に重ねて依頼できるか、ご自身で買主を見つけてよいか、当社の義務がどこまで及ぶかが異なります。
| 専属専任媒介 | 専任媒介 | 一般媒介 | |
|---|---|---|---|
| 他社への重ねての依頼 | ×できません | ×できません | ○できます |
| ご自身で見つけた相手との取引 | ×できません | ○できます | ○できます |
| 契約の有効期間 | 3か月以内 | 3か月以内 | 任意 |
| レインズへの登録 | 締結の翌日から5日以内(義務) | 締結の翌日から7日以内(義務) | 任意 |
| 状況のご報告 | 1週間に1回以上(義務) | 2週間に1回以上(義務) | 任意 |
登録期限の日数は、当社の休業日とレインズの休止日を除いて数えます。一般媒介は複数社に依頼できるぶん自由度が高い一方、各社にとって広告費をかける動機が弱くなります。急いで売りたい場合に専任媒介をおすすめするのは、この理由によります。
広告の方法
ご希望の期間と物件の性質に応じて組み合わせます。
- レインズ(指定流通機構) 全国の宅地建物取引業者が閲覧する物件データベースです。ここに載せると、他社が買主を連れてくる経路ができます
- インターネット 自社サイト、アットホーム、ハトマークサイト(不動産ジャパン)、LIFULL HOME'S、SUUMO、各種SNS
- 現地看板・店頭看板 周辺にお住まいの方や、その地域を探している方に直接届きます
- 住宅会社・業者ネットワーク 建築を前提に土地を探している方へ、住宅会社経由でご案内します
売却の事実を近隣に知られたくない場合は、看板と折込を外し、レインズと業者間のやりとりに絞ることもできます。ご希望をお聞かせください。
仲介と代理は違います
誤解の多いところですので、はっきり書きます。
仲介人は、売主と買主の間に立ちます。報酬は仲介手数料であり、法律に定めがあります。どちらか一方の利益だけを大きくしても報酬は増えません。ですから、双方の折り合う点を探すことが仕事になります。
代理人は、依頼した側の利益を大きくする方向で動きます。報酬は売る商品の利益から得ます。立場が違えば動き方が違うのは当然です。
当社は仲介人としてお預かりします。売主様のご希望を最大限うかがったうえで、買主に説明のつく条件へ整えます。売却は、価格だけで決まるものではありません。引渡しの時期、残置物の扱い、境界確定の負担、契約不適合責任の範囲。どこを譲り、どこを守るかで、手取りと安全性が変わります。
売却にかかる主な費用
- 印紙代 売買契約書に貼付します。売買代金によって額が変わります
- 登記費用 抵当権抹消、住所変更登記など。司法書士へお支払いいただきます
- 仲介手数料 宅地建物取引業法により定められています。詳細は手数料規定をご覧ください
- 測量費用 境界が確定していない場合にかかります
譲渡益が出た場合は、所得税・住民税の対象になります。所有期間や、居住していた家屋かどうかで扱いが変わります。金額の見込みは査定と同時にご説明します。
ご用意いただく書類
すべてが最初から必要なわけではありません。お手元にないものは、取得の方法をご案内します。
- 登記識別情報または権利証
- ご本人の印鑑証明書(司法書士へお渡しします)
- 固定資産税の納税通知書
- 土地の測量図・境界確認書
- 建築確認済証・検査済証
- 建物の図面、設備の資料、リフォームの記録
- マンションの場合は管理規約と長期修繕計画の資料
お手元の書類を整理するための保有書類の確認フォームをご用意しています。
ご相談から引渡しまで
図6 ご相談から引渡しまで
- 1
ご相談
売却の理由、ご希望の時期、住宅ローンの残債をうかがいます。この段階で決めていただく必要はありません。
- 2
調査・査定
現地・法務局・役所を確認し、3つの手法で価格をお示しします。
- 3
媒介契約
3種類からお選びいただきます。
- 4
販売活動
レインズと各媒体へ掲載し、ご案内を行います。状況は定期的にご報告します。
- 5
ご契約
重要事項の説明を行ったうえで売買契約を締結します。
- 6
決済・引渡し
司法書士の立会いのもと、代金の授受と所有権移転を同時に行います。
収益物件の売却
アパートや貸家の場合は、賃貸の状況、レントロール、修繕の履歴が価格の判断材料になります。居住用とは査定の考え方が異なるため、収益物件用の査定申込フォームを別にご用意しています。
売却の流れとよくあるご質問
このページでは売却の考え方と、当社の進め方をご説明しました。実際の手続きについては、工程ごとによくいただくご質問を別のページにまとめています。売却依頼、査定、物件調査、宣伝広告、契約、決済と引渡し、取引後の対応まで、全12工程42問です。
※ 媒介契約の日数・報告頻度は公益財団法人 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)の公表内容によります。買取価格の目安は一般的な水準であり、金額を保証するものではありません。
売却のご相談・査定のご依頼
売るかどうかを決める前の段階からご相談を承ります。ご希望の時期をお知らせいただけると、ご提案が具体的になります。