不動産売却の流れとよくあるご質問
売却をご依頼いただいてから引渡しが終わるまで、当社が何をしているか、売主様に何をお願いするかを工程ごとに整理しました。売るかどうかを決める前の段階でも、お読みいただけます。
〇 売却の前に
売主は「お客様」ではないのですか。
取引の当事者です。ご自身が説明したこと、確認に同意したこと、書類に記名押印したことには責任が伴います。日常の買い物では責任を意識する場面がほとんどありませんが、不動産の売却は事情が異なります。
知っていた不具合を伝えなかったら、どうなりますか。
売主には物件に関する事実を正確に伝える義務があります。知っていた不具合を伝えていなかった場合、取引が終わった後でも責任を問われることがあります。先に出しておくほうが、結果として売主を守ります。
出典 不動産売却の教科書 第1回 / お手続きは告知書(物件状況確認書)から
売却には全部でどのくらいの手順がありますか。
十の手順です。売却依頼、物件査定、物件調査、宣伝広告、管理と報告、予約申込、契約準備、契約、決済と引渡し、取引後の対応。どれか一つを省略できるものではなく、ある手順での判断が後の手順に影響します。
出典 不動産売却の教科書 第1回 / お手続きは不動産の売却・査定の流れから
不動産業に詳しい知人の話は参考になりますか。
立場が違う点にご注意ください。自分の不動産を売ることと、会社に所属して他人の不動産の売却を手がけることは、まったく別のことです。業者側の経験談が、当事者であるご自身にそのまま当てはまるとは限りません。
一 売却依頼
本人以外が相談に行ってもよいですか。
できます。近年は、親御さんが施設に入ることになり、お子さんが相談に来られるケースが増えています。ただし問合せをする方と所有者が異なる場合、後の手続きで委任状や本人確認といった追加の対応が必要になります。
出典 不動産売却の教科書 第2回 / お手続きは不動産調査・査定申込書から
最初に何を聞かれますか。
対象物件の所在地、土地と建物の面積、隣接する土地の状況、そして売主の希望条件です。こちらで登記情報や住宅地図を使って確認していきますので、手元に資料がなくてもご相談いただけます。
出典 不動産売却の教科書 第2回 / お手続きは不動産調査・査定申込書から
媒介契約の三種類は何が違いますか。
一般媒介は複数の業者に同時に依頼できます。専任媒介は依頼先を一社に限定しますが、売主自身が見つけた買主との直接取引は認められます。専属専任媒介は依頼先を一社に限定し、直接取引も制限されます。売却の緊急度と方針で選びます。
仲介業者を通さずに売ることはできますか。
制度上は可能ですが、実際にはかなり少数で、リスクは高いと言わざるを得ません。不動産の取引には法律、税務、登記、建築基準、都市計画など多くの専門分野が関わります。これらを当事者だけで確認し、書類を作り、責任の所在を明確にすることは容易ではありません。
複数の業者が関わると、手数料は増えますか。
増えません。複数の業者が取引に関わった場合でも、売主が支払う仲介手数料の総額は変わらず、関わった業者の間で配分される仕組みです。仲介手数料の上限額は法律で定められています。
出典 不動産売却の教科書 第2回 / お手続きは手数料規定から
二 物件査定
査定はどうやって金額を出すのですか。
代表的な三つの方法があります。比較事例法、原価償却法(積算法)、収益還元法です。物件の種類や用途に応じて使い分け、あるいは組み合わせて査定します。
出典 不動産売却の教科書 第3回 / お手続きは不動産調査・査定申込書から
比較事例法とは何ですか。
条件の近い不動産がこの金額で取引されたなら、同じような条件の不動産にも同程度の金額がつくだろう、という考え方です。比較対象の選び方が難しいため、実務では年に一度公表される地価公示価格を基準に、事例地と査定地を比較します。
建物の価格はどう算出するのですか。
原価償却法を用います。土地は使っても減りませんが、建物は年数が経つにつれて価値が下がります。新築時の価格から、経過年数と構造に応じた減価分を差し引いて現在の建物価格を出します。不動産流通推進センターのマニュアルに基づいた手順で進めます。
アパートなどの収益物件はどう査定しますか。
収益還元法を用います。その物件が将来にわたって生み出す収益をもとに価格を算出する方法です。不動産特有のリスクを加味する必要はありますが、一般的には株式投資と比較しても利回りが良い傾向にあるのが収益不動産の特徴です。
出典 不動産売却の教科書 第3回 / お手続きは不動産調査・査定申込書(収益物件用)から
査定額で売れると考えてよいですか。
査定額はあくまで客観的に見た場合の指標であり、実際の売却金額を保証するものではありません。この点を先に理解しておかないと、後々のトラブルにつながります。
住所も面積も同じなら、同じ金額になりますか。
なりません。条件が似ていても、管理状況や内装の状態によって金額は変わります。日頃の手入れが行き届いている物件とそうでない物件では、当然ながら評価に差が出ます。価格は条件だけでなく状態にも左右されます。
三 物件調査
物件調査とは、現地を見に行くことですか。
それだけではありません。調査先は五つあります。現地、法務局、市役所や県庁などの役所、設備、そして売主からの申告です。複数の場所で複数の種類の情報を確認します。
出典 不動産売却の教科書 第4回 / お手続きは物件調査・ヒアリングから
現地では何を見ているのですか。
道路の幅員、境界石の状態、敷地周りの寸法、建物の外壁や室内の管理状況、周辺の環境です。あわせて下水道や浄化槽の状況、崖や擁壁の有無、水害の痕跡もこの段階で調べます。
法務局では何を取得するのですか。
登記簿だけではありません。公図、地積測量図、建物図面、土地の閉鎖謄本、隣接地の所有者情報など多くの資料を取得します。登記簿の記載と現地の状況が一致しているかの確認も、ここでの重要な作業です。
役所ではどこまで調べるのですか。
意外に思われますが、範囲はかなり広くなります。都市計画の規制内容、道路の認定幅員、下水道の接続状況、建築基準法上の制限、浸水被害の記録、土壌汚染の指定区域、文化財包蔵地の有無など、物件に関わる行政上の情報を幅広く確認します。
古い図面や書類は処分してよいですか。
残してください。権利証や登記識別情報はもちろん、建築時の確認申請書類、設計図面、過去の修繕記録、測量図、境界確認書など、不動産に関する書類は種類を問わず取引に影響します。それらの有無で、調査の精度や取引の進め方が変わります。
出典 不動産売却の教科書 第4回 / お手続きは保有書類の確認から
売主が申告するのは、どのようなことですか。
敷地の地盤や地下埋設物の有無、建物の雨漏りやシロアリ被害の履歴、近隣との境界に関する紛争の有無、心理的な要因に関する事項などです。売主ご自身が知っている情報を申告していただきます。
出典 不動産売却の教科書 第4回 / お手続きは現地照合調査に係る告知書から
四 宣伝広告
買い手はどうやって探すのですか。
主な媒体は、現地看板、インターネットの不動産検索サイト、折込チラシ、新聞広告です。かつては紙媒体の訴求力が強かったのですが、近年は検索サイトへの掲載が反響の中心になりつつあります。現地看板のように地域に直接訴える方法も依然として有効で、物件の特性に応じて複数を組み合わせます。
レインズとは何ですか。
業者間の情報システムです。登録すると全国の不動産業者がその物件情報を閲覧できるようになります。一般の方が直接利用することはできませんが、売却活動の裏側ではこのシステムを通じて幅広く情報が共有されています。専任媒介と専属専任媒介では登録が法律で義務づけられています。
広告の書き方に決まりはありますか。
あります。公正取引委員会が定める表示ルールに従い、所在地、面積、構造、築年数、交通の便など、記載すべき事項と書き方に細かい決まりがあります。かなり厳密なもので、実際に広告表記の誤りが大きな問題に発展した事例もあります。
五 管理と報告
売却活動中に報告はありますか。
あります。専任媒介契約では二週間に一回以上、専属専任媒介契約では一週間に一回以上の報告が法律で義務づけられています。方法は電話、メール、書面、直接の面談など様々です。
出典 不動産売却の教科書 第5回 / お手続きは媒介(仲介)契約変更申込書から
報告では何がわかるのですか。
問合せの件数、内覧の状況、市場の反応といった情報です。売主としては報告内容を確認しながら、必要に応じて価格や条件の見直しを検討することになります。
六 予約申込
予約申込とは何ですか。
購入を希望する方が現れた際に受け付ける書面で、購入希望金額、契約のスケジュール、契約条件が記載されます。ここで理解しておいていただきたいのは、予約申込は契約ではないということです。この前提が共有されていないと、トラブルにつながります。
予約の段階で法的な拘束力はありますか。
理論上は損害賠償等が発生する余地はありますが、実際に裁判になった場合、予約段階での賠償が認められるケースは多くありません。そのため近年は、予約に法的な拘束力を強く主張する業者は少なくなっています。本契約に向けた意思確認の段階とお考えください。
七 契約準備
重要事項説明書は買主向けの書類ではないのですか。
売主にとっても重要な書類です。仲介業者の法的な位置づけは準委任にあたり、業者は取引のプロセスに責任を負いますが、重説に記載する情報の多くは物件そのものの状態と、売主から提供された情報がもとになっています。提供した情報に誤りや不足があれば、責任は売主にも及ぶことがあります。
売買契約書の書式はどこのものを使いますか。
全宅連、各都道府県の宅地建物取引業協会、全日本不動産協会など、複数の団体が定める書式があります。物件の種類や取引の条件に応じて適切な書式を選びます。いずれの場合も、契約書に記載された内容が取引の基本的なルールとなります。
告知書とは何ですか。
売主申告調査の内容を書面にしたもので、物件の不具合や近隣の状況など、売主が知っている事実を記載します。契約書類に添付されるもので、記載内容には当然ながら責任が伴います。
出典 不動産売却の教科書 第6回 / お手続きは告知書(物件状況確認書)から
八 契約
契約はどこで行うのですか。
契約を行う場所については宅地建物取引業法に細かい取り決めがあり、基本的には宅地建物取引業者の事務所で締結するのが原則です。仲介物件で買主が法人の場合は、その法人の事務所で行うことも法的に認められています。
契約の日には誰が集まりますか。
売主、買主、仲介業者が一堂に会します。物件に抵当権が設定されている場合は、金融機関など抵当権者の関与も必要になります。
契約の場では何をするのですか。
重要事項説明書の説明、売買契約書への署名押印、手付金の授受です。署名押印した内容には責任が伴いますので、疑問があれば署名する前に確認してください。
九 決済と引渡し
代金の受取と引渡しは同時に行うのですか。
原則として同時に行います。これは取引の安全を確保するための大原則です。書類の準備と代金の支払いを別々のタイミングで行うと、一方が履行されたのにもう一方が履行されないという事態が起こりかねません。高額な取引ですから、そうなれば被害も大きくなります。
動かせない不動産は、どうやって引き渡すのですか。
書類によって行います。所有権を移転するための登記に必要な書類一式を司法書士に預け、司法書士がすべての書類を確認し、登記手続きが確実に行える状態であることを確認したうえで、代金の支払いが実行されます。
決済の日には何を用意すればよいですか。
権利証または登記識別情報、印鑑証明書、実印など、事前にご案内する書類を漏れなくご準備ください。司法書士が登記に必要な書類の確認、本人確認、登記申請の手続きを行い、所有権を確実に移転させます。
十 取引後
売った翌年に確定申告は必要ですか。
譲渡所得の申告が必要になることがあります。売却によって利益が出た場合はもちろんですが、損失が出た場合でも一定の条件を満たせば税務上の措置を受けられることがあります。
税金のことは不動産会社に相談できますか。
一般的な情報をお伝えすることはできますが、税務のコンサルティングを業として行うことは法律上認められていません。税務の相談は税理士や会計士の職域です。具体的な判断が必要な場合は専門家にご相談ください。不動産業者から断定的な助言を受けた場合は、必ず専門家に確認されることをお勧めします。
引渡しの後に物件の問題が判明したら。
その場面で、告知書と重要事項説明書の内容が改めて意味を持ちます。取引時に正確な情報を伝えておくことが、取引後のトラブルを防ぐ最も確実な方法です。
出典 不動産売却の教科書 第8回 / お手続きは告知書(物件状況確認書)から
十一 実務の実際
説明された流れどおりに進むものですか。
ここまでは基本的な流れであり、実際の取引がこのとおりスムーズに進むことは、むしろ珍しいとお考えください。調査で問題が見つかれば対処し、契約条件の調整が必要なら交渉し、想定外の事態が起きれば関係者と協議する。仲介業者が取引全体をコントロールしているからこそ、完了に至っています。
盛岡ならではの事情はありますか。
あります。盛岡のような古い城下町では、現行の法律だけでは処理できない問題が多数存在します。過去の時代に形成された土地の区画や道路、水路の構造の上に現在の法律による規制がかけられているため、どうしても食い違いが生じます。その都度、行政庁等と協議を重ねながら一つずつ解決していくのが実情です。
出典 不動産売却の教科書 第8回 / お手続きは不動産調査・査定申込書から
※ 各設問の回答は、当社note連載「不動産売却の教科書」全8回の内容をもとに整理したものです。制度や税率は改正されることがあります。個別の判断が必要な事項、とくに税務については税理士等の専門家にご確認ください。
売却のご相談・査定のご依頼
売るかどうかを決める前の段階からご相談を承ります。ご希望の時期をお知らせいただけると、ご提案が具体的になります。