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ニュースと不動産

盛岡の巨木をめぐる二つの声と、住宅街で木を管理するということ

盛岡でいま、樹木をめぐって正反対の声が上がっています。

2026年8月13日、市民有志が盛岡市長に対し、中津川沿いの樹木を伐採して盛岡城跡公園の石垣が見えるようにしてほしいと要望しました。一方で、あの木々があるからこその景観だ、残してほしいという声も根強くあります。

どちらの気持ちも分かります。ただ、盛岡で40年以上、不動産の現場に立ってきた当社には、三つ目の景色が見えています。木を残すにも、切るにも、その管理を引き受ける誰かが必要になります。

記念樹が「巨木」に育つまで、およそ50年

盛岡市内には、分譲から半世紀を超えた住宅地がたくさんあります。マイホーム完成の記念に植えられた、腰の高さほどの苗木。あれが今、高さ10メートルを超えて建物の屋根を追い越している例は、珍しくありません。

10メートルというのは、3階建て住宅とほぼ同じ高さです。

木は、住む人が年を重ねるのと同じ速さで育ちます。そして育ちきったころ、ちょうど手をかけにくい年齢になっている。この時間差が、樹木の問題をやっかいにしています。

住宅街の伐採は、上から順に切ってロープで下ろします

「切ればいいのでは」と思われるかもしれません。ただ、住宅街での伐採は、山林のように根元から倒すわけにはいきません。職人が木に登り、上から順に短く切っては、ロープで慎重に下へ降ろしていきます。空師(そらし)と呼ばれる特殊伐採の技術です。

この作業がどれほど神経を使うか。当社が見聞きした範囲でも、10メートル級の木の伐採中に木が倒れ、敷地内の建物を傷めてしまった例があります。

そして、この技術を持つ担い手が減っています。参議院常任委員会調査室の資料によると、林業従事者数は昭和60年の約12万3千人から長期的に減少し、令和2年には約4万4千人となりました。令和2年時点で65歳以上の割合は25%(全産業は15%)、35歳未満の割合は17%(同23%)です。

技術を持つ人が減れば、頼める先も限られます。思い立ってすぐに、というわけにはいかないのが実情です。

線路のそばは「鉄道会社が切ってくれる」ではありません

誤解されやすいところなので、はっきり書きます。線路に近い土地の樹木について、鉄道会社は基本的に、土地の所有者に管理をお願いするという立場です。

JR東日本高崎支社は2025年12月18日、線路に近接した樹木について、沿線の用地所有者による管理を呼びかけています。防護ネットの設置は行っているものの、一部の箇所における限定的な対策で費用も要るため、所有者の協力が不可欠だとしています。線路内へ倒れそうな木や竹を見つけたとき、枝が電線に触れているまたは触れそうなときは、JR東日本へ連絡してほしいとも記されています。

制度としては、2021年11月1日から鉄道事業法第22条の2により、鉄道事業者が国土交通大臣の許可を受けて、鉄道用地の外にある植物を伐採できる仕組みができました。これによって通常生ずべき損失は補償されます。

ただし国土交通省の運用指針は、この措置を「やむを得ないとき」に限っています。伐採等以外に合理的な方法がないこと、そのうえで植物等の所有者と交渉が調わないとき、または交渉することができないとき。この両方がそろってはじめて使える制度です。

実務の入口は、あくまで所有者への協議依頼です。線路際の土地を持つということは、その樹木の管理責任を持つということでもあります。

越境した枝は、2023年4月から切れるようになりました

ご近所の樹木が敷地に越境してきた場合の話です。

かつては、根は自分で切り取れるのに、枝は勝手に切れないというルールでした。空き家から枝が伸びてきても、町内会も隣家も手が出せない状態が続いていました。

2023年4月1日に施行された改正民法233条3項で、これが変わりました。次のいずれかに当てはまれば、越境した枝を自分で切除できます。

  • 催告しても切除されないとき 竹木の所有者に切除するよう催告したが、相当の期間内に切除しないとき。相当の期間は、基本的に2週間程度と考えられています
  • 所有者や所在が分からないとき 竹木の所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないとき
  • 急迫の事情があるとき 放置すれば被害が生じかねない差し迫った事情があるとき

切除にかかった費用は、原則として竹木の所有者に請求できると考えられています(民法703条・709条)。根については従来どおり、自分で切り取ることができます(233条4項)。

ただし、使える制度があることと、ご近所づきあいが円満に続くことは別です。ここが実務のいちばん難しいところで、当社が間に入るのも、たいていこの段階です。

残すにも、切るにも、引き受ける人が要ります

「自然を守る」も「危ないから切る」も、どちらにも理があります。ただ、どちらを選んでも、その先には手を動かし、責任を引き受ける誰かがいます。盛岡城跡公園の議論も、ご自宅の庭の一本も、構造は同じです。

もし明日、ご実家の庭で放置されているあの木が、強風でお隣に倒れかかったら。お隣の巨木の枝が、ご自宅の屋根に届いていたら。そのとき初めて考えるのでは、選べる手は少なくなります。

空き家の樹木、越境した枝、相続したご実家の管理。当社は1984年から、盛岡市・滝沢市・矢巾町・雫石町・紫波町で不動産の現場に立ってきました。切るべきか、様子を見てよいのか。その判断の材料をお出しするところから、お手伝いできます。

ご相談は完全予約制で承っています。売却のご相談フォーム、またはお電話(営業時間内は019-662-5353、時間外は自動応答の050-1720-0971)で承っています。

個別のご相談について

城下町のかたちが残る盛岡では、土地や建物にまつわる事情もさまざまです。 登記、境界、道路、相続。こうしたご相談を、人づてにいただくことがあります。 ご相談は完全予約制で承っています。

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このブログは盛岡の街のことが中心です。 不動産の制度やしくみといった業界全体の話は、note に連載しています。

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