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全国は5年連続上昇、岩手の住宅地は3年連続下落。2026年の基準地価を盛岡の現場から読む

9月16日の朝刊には、同じ地価の話でありながら、読む新聞によって向きの違う見出しが並びました。全国紙は「5年連続の上昇」、地元の報道は「県内住宅地は3年連続の下落」です。

国土交通省が9月15日に公表した今年の基準地価(7月1日時点の都道府県地価調査)では、全国平均が全用途で1.5パーセント、住宅地で1.0パーセント、商業地で2.9パーセントの上昇でした。いずれも5年連続のプラスです。

一方、岩手県内の住宅地は平均でマイナス0.7パーセント。3年連続の下落です。全国の数字だけを見ていると、足元の実感とはずれてしまいます。今日はこの差を、日々物件調査や賃貸管理に向き合っている立場から読んでみます。

県内でも、差ははっきり開いている

ただし「岩手は下がっている」と一言でまとめるのも正確ではありません。県内の住宅地が下落を続けるなかで、盛岡市の住宅地は12年連続の上昇と報じられています。商業地の最高価格は、今年も盛岡駅前通の地点で、1平方メートルあたり33万6000円でした。

つまり起きているのは、全国と岩手の差であると同時に、県内の中での差です。人と仕事が集まる場所の値打ちは保たれ、そうでない場所は少しずつ下がっていく。平均の数字は、その両方を足して割ったものにすぎません。

ご自分の土地がどちらの側にあるのかは、平均からは分かりません。地点ごとの価格と、その周りで実際に成約している事例を並べて、はじめて見えてきます。

建築費の上昇が、土地にかけられる予算を削っている

今年の発表では、地方の主要都市でも上げ幅が縮む傾向が見られ、その背景として建築費の高騰が挙げられています。国土交通省も、地価や建築コストの上昇が続き、高価格帯の住宅の買い控えや、より安く手に入る郊外物件を求める動きが影響していると説明しています。

現場でお客様と資金計画を話していると、この理屈がそのまま目の前で起きていると感じます。家を建てる費用が上がれば、総予算が同じである以上、土地に回せる金額は減ります。建物の値上がりが、土地の買い控えという形で地価に跳ね返ってくる。都市部では地価を押し上げている物価の上昇が、地方ではむしろ土地の値を抑える側に働くことがある、ということです。

花巻市の森林取得は、数字を正確に見ておきたい

同じ9月15日、林野庁が外国法人等による森林取得の調査結果を公表しました。2025年の1年間で、外国法人や海外に住む外国人による取得が50件、143ヘクタール。国内の外資系企業や国内に住む外国人による取得を合わせると、108件、714ヘクタールでした。

岩手県内では花巻市で1件、海外に住むカナダ国籍の個人による、およそ1ヘクタールの取得が報告されています。利用目的は「現況利用」、つまり今の森林のまま使うというものでした。また林野庁は、こうした森林で取水や地下水の採取を目的とした開発の事例は、これまで報告されていないとしています。

外国の方による土地の取得が、東京や北海道だけの話ではないことは確かです。ただ、この1件をもって、地方の土地が外国資本に買われ始めたと受け取るのは早すぎます。気になるニュースほど、見出しの印象より先に、件数と面積と目的を確かめておきたいと考えています。

「とりあえず持っておく」が通りにくくなっている

今年の数字から私が読み取るのは、値打ちが保たれる土地とそうでない土地の選別が、盛岡の周りでもこれまで以上にはっきりしてきた、ということです。

全体が少しずつ上がっていた時代なら、使っていない土地や郊外の空き家も、持っていればいずれ何とかなると考えることができました。県内の住宅地が3年続けて下がっているいま、その先送りには費用がかかります。固定資産税、草刈り、雪、建物の傷み。待つあいだにも、持ち続ける負担は毎年積み上がっていきます。

売るのか、貸すのか、もう少し持つのか。どれを選ぶにしても、まずご自分の土地の地点に近い価格と、周辺の動きを知ることから始まります。

当社は1984年から盛岡市山岸で、旧市街地の込み入った土地の相談を受けてきました。全国の見出しと足元の実情がずれる年ほど、一件ごとの事情を確かめることの意味は大きくなると感じています。

全国の変動率は、国土交通省が2026年9月15日に公表した都道府県地価調査(基準地価)の報道によります(時事通信配信)。岩手県内の住宅地の変動率、盛岡市の住宅地の連続上昇、商業地の最高価格は、同日の岩手県内のテレビ各局の報道によります。森林取得の件数・面積・事例は、林野庁が2026年9月15日に公表した「外国法人等による森林取得に関する調査の結果」によります(面積は同庁の端数処理による表示)。建築費と地価の関係に関する見方は、筆者の実務上の見解を含みます。

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