設計・工事監理の契約が書面に 2027年4月施行の改正建築士法と家づくりの資金計画
2026年10月6日、改正建築士法のうち設計・工事監理の契約にかかわる規定を、2027年(令和9年)4月1日から施行する政令が閣議決定されました。建築士に設計や工事監理を頼むときは、建物の大きさにかかわらず、契約の内容を書面にして取り交わすことになります。
業界の制度改正に見えますが、これから家を建てる方や、中古住宅を買って大きく手を入れる方にとっては、お金の段取りとスケジュールに関わる話です。何が変わり、何を準備しておけばよいのかを整理します。
書面契約の義務が、すべての建物に広がる
設計や工事監理の契約を書面で取り交わす義務は、2015年の改正で設けられました。ただし対象は延べ面積300㎡を超える建築物に限られ、一般的な戸建て住宅の多くは対象外でした。そのため、詳しいプランづくりが契約の前に進んだり、設計の費用が工事費の中に含めて扱われ、内訳が見えにくかったりする進め方も見られました。
2027年4月からは、建物の面積を問わず、建築士が行うすべての設計・工事監理の契約が書面化の対象になります。あわせて、建築士事務所は報酬の算定根拠を示す見積書を作るよう努めること、発注する側も委託の内容に見合った適正な代金で契約するよう努めることが定められました。見積書は義務ではなく努力義務ですが、「何にいくらかかるのか」を言葉にして確かめる流れが、制度として後押しされることになります。
なお、建築士が契約の前に重要事項を説明する義務は、以前から建物の規模を問わず定められています。今回広がるのは、説明を受けた内容を契約書面として残す部分です。
資金計画とスケジュールで気をつけたいこと
一つ目は、設計・工事監理の費用が独立して見えるようになることです。報酬の額や支払いの時期が書面に記されるため、工事の請負代金とは別に、設計の着手時や完了時などに支払いが求められる場合も出てきます。住宅ローンは建物の完成後にまとめて実行されることが多いため、着工前に出ていくお金を自己資金でまかなうのか、つなぎ融資などで手当てするのかを、早い段階で決めておく必要があります。
二つ目は、着工までの日程です。重要事項の説明を受け、書面の契約を交わしてから本格的な設計に入るという手順が、小さな住宅でも前提になります。土地や中古住宅を探す段階から、設計の契約にかかる時間を見込んでおくと、引越しや住み替えの予定に無理が出にくくなります。
契約が見えることは、品質を確かめる手がかりになる
手続きが一つ増えるように感じるかもしれません。けれども、設計と工事監理は、建物が図面どおりに安全につくられているかを確かめる、住まいの品質の要となる業務です。その範囲と報酬が書面で確認できるようになれば、後になって「そこまでは頼んでいない」「その費用は聞いていない」という食い違いを減らすことにつながります。
土地や中古住宅の購入と、その後の建築やリフォームは、別々の契約として進みます。物件を検討する初めの段階から、設計・監理の費用と支払いの時期を資金計画に組み込み、どの時点でどの契約が必要になるのかを見通しておくことが、これからの家づくりの基本になります。
本記事の記述は、国土交通省 報道発表「改正建築士法の施行に伴う関係政令を閣議決定」(2026年10月6日)、衆議院 国土交通委員会「建築士法の一部を改正する法律案(衆法第38号)概要」、東京都都市整備局「建築士法」(2015年改正の内容)をもとにしています。