旧県営球場がいよいよ解体へ 広い跡地を前に、宅地造成の「次」を考える
先日、岩手日報を開きましたら、旧県営球場の解体に県がいよいよ着手するという記事が目に飛び込んできました。県議会で解体工事の契約が可決され、近く工事が始まるそうです。
2023年3月に役目を終えてから、静かにたたずんでいたあの球場が、ついに姿を消します。1970年の開場から半世紀あまり、高校野球の夏の大会やプロ野球の公式戦で、何度も沸いた場所です。
最近は朝晩の冷え込みも厳しくなってきました。盛岡の秋空の下、かつて金属バットの快音や歓声が響いていたあの場所が、これから重機の音に変わっていくと思うと、少し寂しいものがありますね。
広い更地ができても、無邪気には喜べない
さて、あのような巨大な施設が解体されて広大な更地ができると、一般の方は「次は大きな商業施設ができるのか、それとも綺麗に区画割りされて新しい住宅地になるのか」と期待するかもしれません。ですが、盛岡で長年不動産をやっている身からしますと、そんなに無邪気には喜べない現実があるのです。
実はあの敷地、都市計画の上ではほとんどが第一種低層住居専用地域です。今のルールのままなら、建てられるのは住宅や学校、福祉施設などに限られます。放っておけば、いちばん素直な使い道が「住宅地」になってしまう土地なんですね。
昔なら「広い土地が空いた? よし、造成して分譲地にしよう」で通用しました。右肩上がりの経済で、誰もが住宅ローンを組んでマイホームを建てるのが当たり前の時代だったからです。でも、その住宅ローンを背景とした安易な宅地開発は、もう完全に限界点に来ていると、現場で肌で感じています。
更地にして売れば終わり、ではありません
建築資材の異常な高騰、少子高齢化、そして見通しの立たない金利。これだけ不透明な時代に、ただ家を建てるためだけの造成をして、本当にそれが街の価値になるのでしょうか。
うちにも「実家の広い土地、解体して分譲地として売れませんか」というご相談がよく来ます。でも、ただ更地にして売ればいいというものではありません。盛岡の厳しい冬、広すぎる更地の雪かきや管理を誰がやるんだ? という生々しい問題だってあります。
次の世代に負担を残さない活かし方を
だからこそ、最近はお客様と一緒に図面を前にしてウンウン唸りながら、「ただ更地にして住宅地として売却する以外の、今の時代に合った別の活かし方はないか」を必死に探っているところです。昔の成功体験にしがみついて住宅ローン頼みの宅地造成を繰り返すのではなく、次世代の盛岡に負担を残さない、新しい土地の活用方法を見つけ出さなければなりません。
旧県営球場の跡地をどう活用するかは、県がこれから方針をまとめる段階で、まだ決まっていません。昨年、県が民間事業者から意見を聞いた際には、子どもの遊び場としての公園や商業施設、太陽光発電を組み合わせた案など、さまざまなアイデアが出たそうです。
安易な宅地開発に逃げず、ここが盛岡の新しい「土地活用」のモデルケースになってくれればと、いち不動産業者として切に願っています。
本記事は、岩手日報2026年10月14日付および2025年4月18日付の報道と、岩手県「旧岩手県営野球場跡地の活用に関するサウンディング型市場調査」結果概要(2025年6月公表)をもとにしています。跡地の活用方針は未定です。