共働き時代の「家事シェア」と、家事を機械に任せる住まい選び
9月26日付の岩手日報で、岩手県が9月27日から始める「いわて一斉!家事・育児シェア大作戦!」が取り上げられていました。
家事の分担を数字で確かめる
県のウェブ診断では、献立を考える、食事を作る、洗濯物を干す・取り込む、部屋とお風呂の掃除、保育園・幼稚園の送迎という7つの項目について、夫婦それぞれの現状と理想の分担割合を入れ、その差を数字で確かめます。診断のあとアンケートに答えると、県内にお住まいの方は12月11日まで賞品の抽選に応募できます。
県のサイトでは、共働きが当たり前になりつつある一方で、家事・育児の負担は依然として女性に偏りがちだと指摘されています。
昭和、平成を経て令和となり、共働きはごく一般的な暮らし方になりました。負担の偏りを感覚ではなく数字で共有し、夫婦で話し合うきっかけをつくる。今の暮らし方に合った、意義のある取り組みだと感じます。
食器洗い機は、ゆっくり広がった
一方で、家事の問題は機械が解決してきた、という見方もあります。よく例に挙がるのが、アメリカの食器洗い機です。
ただ、数字を追ってみると話はそう単純ではありません。アメリカで夫のいる女性の就業率は、1960年の約33パーセントから1970年の約43パーセントへ上がりました。同じ10年に大きく広がったのは、洗濯機や乾燥機、冷凍庫でした。
食器洗い機は、1960年の時点で普及率がおよそ7パーセント、1971年でも18パーセントほどにとどまっています。半数の家庭に行き渡ったのは、1990年代の後半になってからです。
共働きが増えたからといって、機械がすぐに家事を肩代わりしたわけではありません。価格が下がり、置ける台所が増え、使う習慣が根づくまでには、数十年の時間がかかっています。家電が増えても家事の時間はそれほど減らなかった、と指摘する歴史研究もあります。
機械に任せるには、家の側の準備が要る
日本でも、ロボット掃除機や食器洗い乾燥機、衣類乾燥機を選ぶ家庭が増えました。この分野は、これからも新しい商品やサービスを生んでいくと思います。
不動産の現場から見ると、ここで効いてくるのは家の側の条件です。機械を買っても、家がそれを受け入れられなければ使いこなせません。
ロボット掃除機なら、床の段差の少なさ、家具の下を通れる高さ、充電の基地を置く場所とその近くのコンセント。食器洗い機を台所に組み込むなら、入れられる幅と、給水・排水・電源の工事ができるかどうか。衣類乾燥機なら、置き場所と排気や湿気の逃がし方です。
新築やリフォームなら最初から計画に入れられますが、賃貸や中古住宅では、後から設備を加えにくい場合があります。
盛岡の冬と、洗濯物の置き場所
盛岡では冬のあいだ、洗濯物を外に干せる日が限られます。室内干しが続くと湿気がこもり、窓まわりの結露やカビの原因にもなります。
乾燥機を置ける場所と、湿気を逃がす換気の備えは、雪国の住まいでは特に暮らしやすさを左右します。
住まい選びに、一つ加えたい視点
これからの住まいは、夫婦で家事を分け合う場所であると同時に、機械に家事を任せやすい場所であることが価値を持つようになると考えています。
内見の際は、立地や広さに加えて、床の段差、コンセントの位置、水回りの広さ、洗濯物を乾かす場所を見ておくと、暮らし始めてからの手間が変わります。気になる点は、契約の前にご確認いただくのが確実です。
家庭の分担を数字にしてみることと、住まいの側を整えること。この二つは、家事を一人で抱え込まないための、同じ方向を向いた取り組みだと思います。
本記事は岩手日報の報道と、岩手県「いわて一斉!家事・育児シェア大作戦!」のウェブサイト、アメリカの家電普及に関する公開資料をもとに整理しています。キャンペーンの内容は変更される場合があります。